林望(リンボウ)先生の「イギリス観察事典」にもそのことは書かれているが、私のホームステイ先のムーア家のお風呂もかなり使いにくい部類に属する。普通の家庭のバスルームにはトイレと洗面台とバスタブが設置されていて、シャワーがない場合が多い。おまけにムーア家のバスルームの床はふかふかの絨毯である。その絨毯の上にバスタブが置かれているのである。
泡だらけのバスタブの中で身体を洗い、その後、身体の泡を流すシャワーが付いていない。そのために泡だらけのバスタブのお湯を抜き、新たに身体の泡を落とすためにお湯を張るようなことは、夏なら可能だろうけれども、冬ならば、裸でお湯の溜まるのを待っていれば風邪をひいてしまう。彼らに言わしめれば、泡だらけの身体をそのままバスタオルで拭けばよいのだという。我々にすればそんなことをすれば、身体に石鹸分が付着して、皮膚に良くないように思うのであるが、彼らは一向に気にしないようである。小さいときからそのようにしてバスを使ってきたので、何の戸惑いもないらしい。(そういえば彼らは、食器を洗うときも、洗剤で洗った後、水洗いをせずにいきなりフキンでふき取ってしまう)
そこで私流のお風呂の入り方を披露しておこう。まずお風呂にお湯を張る前に、洗面台にかなり熱いお湯を適量に張っておき、タオルを1枚入れておく。それからバスタブにお湯を張りながら、洗面台とバスタブの間にバスタオルを広げ、道を作る。バスタブにお湯が溜まれば、もう一枚タオルを使って、バスタブの中で、泡を立て身体を洗う。洗い終われば、先ほど敷いておいたバスタオルの上を歩いて(絨毯をぬらさないためである)洗面台に行き、浸かっているタオルを絞って(このころには熱湯もさめてちょうど良くなっている)身体を濡れタオルで拭く。(身体についた石鹸分を落とすためである)そしてようやくバスタオルで身体を拭くわけである。この方法には、普通のタオル2枚とバスタオル1枚が必要である。(幸いなことに、ムーア家のバスルームにはタオルだけは、十分にいつも用意されている。)
もちろんシャワーのついたホテルなどを利用される方は、このような苦労をされる必要はないと思うが・・・。