第11回 アンティーク雑貨を訪ねて

(コミュニケ2000年2月号掲載)

 この仕事をやり始めた当初は、雑貨を扱うことにはいささか抵抗がありました。初めてロンドンの蚤の市を見て廻った時も、絵画やジュエリー、テーブルウェアー、文具類、置物、ブラス製品等には興味がありましたが、ホウロウのキッチングッズやエナメル缶は、全く私の頭の中にはインプットされていませんでした。

 私たちの世代(現在50歳代の人達)は、戦後の物資の乏しい時期に幼児期を過ごしたこともあって、どうしてもあのホウロウの質感は当時の生活とオーバーラップしてしまい無意識のうちに避けて通っていました。ところが5、6年前に買い付け先のランカシアーで同業者の日本向けのコンテナの積み込み作業を見る機会がありました。見ていると、私にとっては単なるジャンクとしか思えないガラクタを沢山積み込んでいるのです。

「わざわざイギリスまで来てガラクタを日本に輸入してどうするんだろう?」と思いましたが、積み込んでいる人に聞いてみると、「発注者は40歳くらいの日本人だ」とのことでした。

 日本へ帰ってから雑貨の本を何冊か買い込んだり、“雑貨大好き人間”のMさんに教えてもらったりして、付け焼き刃ながら知識を詰め込み、次の買い付けから雑貨も輸入アイテムに加えるようにしたところ、30歳代前半の女性の来店が増加し、年齢の幅がグッと広がりました。

 そもそもロンドン中のアンティークショップをハシゴしてまわってもホウロウのキッチングッズ等を売っている店は見あたりませんし、ショップガイドにも載っておりません。つまりアンティークとしての市民権を未だ得ていないのです。

 しかしながらロンドンでもポートベローなどの蚤の市へ行けば、アンティークからジャンク、ラビッシュまでなんでも商品になって売られています。また田舎のサンデーマーケット等にはそれこそ昨日まで使っていたようなプラスチックの食器まで売られています。そんな種々雑多な商品の中から「これは日本で売れそうだ」と思う商品を選ぶことは大変なことです。

 しかし雑貨の雑誌などに載っているのとそっくりな物が安く手に入れば、それこそ思わずニンマリと心の中でしてしまいます。(本当は、そのような売れ筋商品はたいてい“いい値段”がついているものですが…)